鋼鉄の叫び 鈴木光司 著

鈴木光司の本は今まで読んだことがなかったように思う。リング、螺旋のイメージが強くて、食わず嫌いだったというか。
この本は、特攻隊の変態を自らの意思で離れて生還した人間、という峯岸泰三中尉と、それを探し当てるべく奔走するテレビディレクターの雪島忠信に二つの軸で物語が進行する。登場人物のディテールがとても細やかで、二つの軸の交わり方も予期しているところもありつつ、息を呑むような流れで素晴らしい。
とてもお勧めできる。