アメリカでiPhoneを買う その1

  ソフトバンクが「ダブルLTE」を発表して、EMOBILE網 1.7GHz帯を使ったLTEサービスもスタートするようだ。ソフトバンクは一貫して攻めの姿勢で、使う側からすれば「ソフトバンクは今度また何かやってくれるに違いない」というようなイメージを持つ、のだと思う。私はソフトバンクを使っていたが、是非ともKDDIにも頑張ってもらって・・・  と話がそれてしまった。  アメリカでiPhoneを購入する話であった。  アメリカに住み始めて直ぐに必要になるものの一つが携帯電話だ。私は日本から会社の携帯電話をそのまま持ってきたのでそれで最初の時期を乗り切ったが、これも会社が料金を支払ってくれたからできる技であって、個人持ちの携帯で海外ローミングのバカ高い使用料は普通は支払えないと思う。  まず、家内のためにプリペイド携帯を購入した。AT&TのGo Phoneというサービスのものを購入したが、電話機端末がおよそ30ドル程度、それに15ドル程度のチャージをすることで利用開始できた。端末は折りたたみタイプのものであるが、日本で想像するような折りたたみタイプではない。画面はカラーであるが、解像度が荒く、とても小さい画面のものである。そう、10年前の折りたたみ携帯のような雰囲気である。  15ドルチャージすると、通話は1分10¢で使うことができる。データ通信はチャージしなかったので料金はわからない。通話料金は日本の感覚からすると安いはずだ。ソフトバンクのホワイトプランが30秒で20円だったように記憶している。その四分の一である。しかし、注意すべきは着信時にも同じ料金がかかること。また、国際電話をすると1分1ドルぐらいで消費されてしまう。  家内はしばらくはこのプリペイド携帯でしのいでいたが、やはりどうしてもiPhoneを使いたい、と考えていた。私も私用携帯としてiPhoneを使いたいと思っていた。本場のアメリカで使ってみたいと。「本場」だからといって、何か日本と違うわけではないと思うが。  ただ、私は事前に調べた情報から、ポストペイド携帯をアメリカで購入することはそれなりの困難がある、と予想していた。iPhoneがプリペイドで存在するならばそれを使うのも良いと思うが、そもそもiPhone5では(購入当時は)プリペイドは存在せず、ポストペイドしか存在しなかった。  日本でソフトバンク携帯を購入するのもポストペイド契約であるが、私が日本にいるときにソフトバンク携帯を購入するためには、おそらく、免許証、クレジットカード、印鑑、ぐらいあれば簡単に購入できるはずだ。もちろん、これは私が日本に国籍があって、日本に居住していた日本人だから、なのかもしれず、そうではない場合には購入するのが難しいのかどうかはわからない。  一方、アメリカという国はポストペイドに対して厳しいと感じる。例えば、ガソリンスタンド。最近は日本でもセルフガソリンスタンドが増えたのでポストペイドが多くなったと言えるが、セルフではない場合の流れは、「いらっしゃいませっ!」「レギュラー満タンで」「お支払いは?」「現金で」とお話して、給油後にお金を支払って終わりだろう。セルフの場合は、ガソリンスタンドの給油機にお金を吸い込ませたあとに給油して、お釣りをもらうという感じだ。  アメリカのガソリンスタンドはほとんどすべてセルフタイプである。セルフ以外のガソリンスタンドは見たことがない。ガソリンスタンドの給油機にはクレジットカードあるいはデビットカードを使う。現金は使えない。現金で給油したい場合は、ガソリンスタンドのスタッフの人がスタンド内のコンビニにいるので、その人に「何番の給油機で給油したい。お金はこれ。」と渡す。  クレジットカードを使えるのだから日本から旅行した場合も大丈夫かというと、そうとは言えない。というのは、多くのガソリンスタンドの給油機では、クレジットカードの情報を読み込んだあとにZIP Codeを入れることになっている。郵便番号だ。当然、日本の郵便番号を入れても承認されないし、そもそもアメリカの郵便番号の桁数は五桁なので入力できない。  とすると、現金で給油するしかないのだが、現金で給油した場合はお釣りが出ない。だから、自分で「このぐらいのお金で満タンになるだろう。」とあたりをつけて支払うしかない。  と、またもや話がそれてしまったが、アメリカのポストペイドは厳しい、という話であった。  iPhoneの場合、購入者にCreditがあるかどうかが問題となる。つまり「お金が後払いでもこの人はちゃんと払う信頼すべき人物かどうか」が問題だ。アメリカではこのCredit、信用はSocial Security Number(SSN)に紐づく情報となっているから、SSNを持っていない人はそもそもポストペイドでiPhoneを購入することはできないはずだ。  SSNを取るのも大変なことであり、赴任後一ヶ月ぐらいはかかる。私も一ヶ月待ってSSNを取ってすぐにiPhone購入したいと考えたが、SSNには信用の度合いが紐付いているわけだから、SSNを取ったばかりの若造には信用を証明するものは何もない、ということになる。  信用のない若造にポストペイドの携帯を販売するには、どうするのか。「売らない」というのもあるだろうが、売らないのは販売の機会損失になりえるし、アメリカ人の人だって最初は皆、信用のない若造だったわけで、その若造たちにiPhoneを売らないわけにもいかない。そこで、そういう若造からは「保証金をとっておく。」ということになる。保証金を取っておけば、万が一払えなくなった場合でも保証金で充当しちゃうからね、というわけである。  保証金は英語ではDepositという。私もiPhone購入にDepositが必要であることは覚悟して、Deposit払うからiPhone買わせてくれ、と考えていた。  (続く)