読書感想 壁の男 貫井徳郎 著

 この本をどう言い表してよいのか、未だによくわからない。私は読後に放心状態になってしまった。
今まで貫井徳郎の本は何冊か読んでいる。乱反射、愚行録などだ。人間の不条理さを描いた、氏の特有の描写は、ときに救いの無さを読後に感じたが、この「壁の男」はちょっと違う。
私のこの本の理解は、人間それぞれの行動の下に隠れた考え、事情は、他人には分かりづらい、わからない、わかるはずがない、というものだ。みんなそうして生きているのだ。
この本は間違いなくおすすめできる。私がこの数年で読んだ本でナンバーワンである。