Bluetoothヘッドセットを購入するのは難しい

 在宅勤務がメインになり、必然的に打ち合わせはオンラインとなる。ノートPCのスピーカーとマイクそのままでは打鍵音も入ってしまうので、ヘッドセットを使っている。
 私のヘッドセットの基本的な要件としては、一つ目は「自分の声がある程度聞こえるようにしておきたい」だ。インイヤーのカナル型のイヤホンを使って会議をしていると、自分の声がよく聞こえないので、大きな声になってしまい家族からうるさいと指摘される。


 二つ目は、暑くない、だ。特に、オーバーヘッドの密閉式のヘッドホンを使っていると、会議が終わると「ふぅ」という感じになる。以前、手持ちのSony WH-1000XM3を使ってオンライン会議に参加してみたが、ノイズキャンセリング、かつ、密閉式オーバーヘッド形式のヘッドホンということで、声はデカくなるは、暑いは、で快適とは言えなかった。WH-1000XM3は、ノイズキャンセリングで音楽リスニングをメインとすべきで、リスニング中に着信があったときにそのまま通話できる、と考えるべきなのだろう。

 

 今まで使っていたヘッドセットを辿ってみよう。

 ゲオ BTE-104

geo-online.co.jp


 Blutooth接続。これは安い。999円(税込)。インナーイヤータイプだが、カナル型ではないので、耳の密閉感はなく、声は大きくならない。ただ、ポロッと落ちやすい。聞く方の音質はそこそこだが、マイクがダメ。会議の相手に明らかに音声が悪いと指摘されるレベル。また、電池があまり持たない。カタログ値で4時間。ちょっと長めの会議とか、複数回の会議だと電池がなくなってしまう。

 

 エレコム ヘッドセット ブラック HS-HP22TBK [φ3.5mmミニプラグ /両耳 /ヘッドバンドタイプ


 3.5mm 4極端子接続。このヘッドセットは安い。オーバーヘッド オープンエア型なので、耳を覆い隠すこともなく、声がデカくなることもなく、暑くもない。結構使えるヘッドセットだが、作りが今ひとつ。購入したものはマイクの音質が今ひとつで、ジージー雑音が入り、故障交換してもらった。故障交換してもらったものは、ジージー雑音の症状は無くなったものの、マイク部分のムーブの動きがスムーズではなく、また、音量調節スライダからジリジリ雑音が入るようになったりして、使い続けることを断念。

 

 次は、ロジクール H111 STEREO HEADSET

3.5mm 4極端子接続。エレコムよりは多少高かったが、それでも1,500円程度でとても安い。型式はエレコムと同じオープンエア型。ケーブル途中の音量調節スイッチもなく(無い方が良いと思う)、マイクのムープの動作もしっかりしていて作りはエレコムよりも良いが、私の大きな頭ではちょっとフィットしない。頭が痛くなる。

 

 ここまでWH-1000XM3も含め4つ使ってみたが、どれもこれも今ひとつ。安い機種でどうにかならないかというポリシーで探してきたが、ここでポリシー変更。定評のあるものを購入してみることにした。Jabraだ。Jabraのオーバーヘッドタイプだと少々耳が暑くなりそうなので、思い切って片耳だけのヘッドセットにした。コールセンターの人たちがこんなタイプを頭につけて業務をしているような気がする(イメージです)。

 ただ、Jabraだと大幅に高くなる。ヤフオクなどでも探して購入したのがこれ。

 

 Jabra Evolve 65 UC Mono(リンクはEvolve2)

 Bluetooth接続。1.5万円程度で購入。ただし、USBドングル付属。着け心地は良い。耳のあたりも良いし、片耳だから、暑苦しい感じもない。片耳だから声も大きくならない。ただ、USBドングルを使わずに、PCのBluetoothに直接接続して使うと、20から30分ぐらいでマイクだけ切れてしまう。相手の音声は聞こえているのに、自分の声が届かない。ドングルを使うと問題がない。また、もう一つ問題として、JabraのPC用のアプリケーションの出来が今ひとつ。Mac版だとどうやってもファームウェアアップデートできず、Windows版でなんとかファームアップデートした。

 

 しかし、どうも音質が悪いような気がする。しかも、PC本体からBluetooth接続していると接続に不具合があるというのもいただけない。これならば、最初からドングルが付属していない片耳Bluetoothヘッドセットの方が良いのではないかと思いついた。値段も安い。

 

 そこで、もう一つ購入した。
 サンワサプライ 400-BTMH013BK

 Jabraに比べれぱ大幅に安く、4,000円程度で購入できる。置くだけで充電できる充電器まで付属している。重さも軽く、51g。Jabraよりも大幅に軽く、耳の触り心地も悪くない。連続使用11時間。ドングルが必要なく、USB端子を使わずに済む。スペックとしては文句ない。
 使ってみると、音質が悪いことに驚く。オンライン会議は十分できるレベルだが、電話の音質程度。有線のヘッドセットに比べると格段の差がある。どうもBluetoothのヘッドセットを使う時点で音質が悪いのではないかと思い始めた。

 

 そこで、「Bluetooth 音質が悪い」とGoogle検索してみると、同じことを考えている人が多いことに驚いた。下記のような次第で音が悪いようだ。


 BluetoothヘッドセットはHSPというプロファイルを使っている。このプロファイルは音楽再生のプロファイルA2DPとは異なり、双方向(音声受信と音声送信)を行う。音声受信のみA2DPプロファイルを使うということはできず、ヘッドセット利用時にはHSPのみとなる。
 このHSPのコーデックがへぼい。8kHzだ。ちなみに、CDは44.1kHz。8kHzだと、AMラジオの音声程度と考えた方が良い。HSPのコーデックはver1.5では8kHzだが、ver1.6というものもあり、そちらでは16kHz。グッと良くなるが、それでもせいぜいFMラジオ程度だ。HSP ver1.6に対応しているヘッドセットは、HD Voiceと言っていることがある。

 

 私の使っていたゲオ BTE-104はHSP ver1.5対応までで、AMラジオ並み。音が悪いわけだ。有線のヘッドセットは音質は問題ないが、Jabla Evolve 65は、設定でコーデックの周波数を切り替えることができる。設定上、WideとNarrowと書いてあるが、Wideだと16kHz。FMラジオ並み。Jabra購入時にはNarrowになっていて、AMラジオ並みの音質だったようだ。設定で切り替えると、まあまあ使える程度にはなった。サンワサプライの400-BTMH013BKは8kHz。おそらく、HSP ver1.5対応なのであろう。

 

 ということで、Jabra Evolve 65をドングルでBluetooth接続して使うこととした。有線に比べれば音質は今ひとつだが、許せる範囲内だ。

 

 もし今後、私にとってのオンライン会議用の決定版ヘッドセットを買うとしたならば、下記のようなものかもしれない。


 3.5mmミニプラグ接続(音質の点から有線。USB端子は占有させたくない。)
 片耳ヘッドホンで耳あたりが良いもの
 マイクは単一指向

 こういう条件で、手頃なヘッドセットってあまり売ってないんですよね。