僕は、字が読めない。/小菅宏
「僕は、字が読めない。」を読了した。
サブタイトルは、「読字障害(ディスレクシア)と戦いつづけた南雲明彦の24年」。
LDあるいはADHDのような、学習障害というものに少しの知識はあったものの、「ディスレクシア」という言葉はこの本で初めて知った。ディスレクシアは、文字を読む事がとても遅かったり、書き取る作業が苦手で文字が歪んでしまう等の症状、あるいは障害のことを指している。LD(学習障害)の一つと言われている。
南雲さんはディスレクシアと分かったのが24歳のとき。それまでは何故このように大変なのか、自分はなぜ人と違うのか、に悩み、傷つきながら、苦労されて生きてこられた。その苦労は私の想像などを絶するものなのだと思う。
ディスレクシアは一つの個性なのだと私は思う。確かに、現代を生きて行くのにはやや大変な、つらいことがある個性なのかもしれない。しかし、忘れっぽい人、音痴の人、運動が不得意の人(これは私だ)と、さほど変わるものではないのではないか。
適切なサポートでディスレクシアの人も活躍できるのだ。トムクルーズだってディスレクシアだとカミングアウトしている。彼はディスレクシア故、台本を読んで覚えることができず、人に台本を読んでもらって、人の台詞も含めすべての台詞を覚えて撮影に臨むのだそうだ。
読書は知らない事がまだまだ存在している事を痛切に感じさせてくれる。
「僕は、字が読めない。」 小菅宏 著
集英社 1,429円